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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第64章 心に蓋をして、幸を祈る ― 安土城武将&姫 ―


信長様は了承なさり、それは私の意見に関係無く、全員の了承と受け取られました。

「ありがとうございます…!」

舞様が泣きそうなお顔から、見た事もないような美しい笑顔で御礼をおっしゃり、ああ、本当に謙信殿を愛していらっしゃるのだな、と思わせられるばかりでした。

-それなら、私のこの反対ばかりする感情が、恋というものならば。

-この心に蓋をして、二度と出てこないようにしなければなりませんね。

-それが舞様のお幸せでいらっしゃるなら、尚更に。



軍議が終わり、皆様が広間から退出され、私も最後に部屋を出ようとした時、舞様が声を掛けてくださいました。

「…三成くん、引き留めてくれたのに、ごめんなさい」

舞様の望まれた事なら、私には反対する術はございません。

「…舞様、どうぞ、越後でお幸せになってください。
私とそうお約束ください」

私の言葉に、舞様はまた、泣きそうなお顔になり、それでも頷かれました。

「約束、するよ。絶対幸せになる。謙信様と幸せを掴むから…
行かせてくれてありがとう」

その瞬間、私は舞様を抱き締めていました。

「…三成、くん」

「お願いです、このまま、しばらく…」

私の切実な口調に驚かれたのか、舞様は黙って抱き締められてました。

-舞様にはもう触れられません、だから、今だけ、触れさせてください。

私はしばらくして腕を解き、舞様に謝罪しました。

「申し訳ございません」

「…ううん…」

舞様は少し顔をうつむかせて、はっきりした表情はわかりませんでした。

-でも、舞様への感情は、今、蓋をし、もう二度と表に出しません。

「…舞様、どうぞ、越後でお幸せにお過ごしください…」


<終>
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