<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第62章 色変化 ― 義元&姫 ―
「舞、また会ったね」
俺は微笑みながら声を掛けると、舞は少し驚き、そして嬉しそうに微笑んだ。
「義元さん…」
何故か、俺の名前を呼ばれた瞬間、背中がぞわりとした。
俺の色を刺激するような声。
そんな声にはめったにお目にかかれない…という事は舞は俺の色を高ぶらせてくれる存在なのか。
その嬉しそうな表情は、俺の事を何かしら気に掛けてくれていると思って良いのかな?
「何か買ったのですか?」
舞が俺の手にあるものを聞いてきたので、俺は舞になら見せても良いな思い、舞が好きな花畑へ一緒に赴く。
小さな可憐な野の花に囲まれて、俺は買ったものを舞に見せる。
南蛮製の透明な硝子という素材で出来た美しいぐらすで、これに洋酒を入れて飲むらしい。
舞は俺から許可を得て、そっとぐらすを持ち、陽に透かして覗き込む。
「きらきらしてとても綺麗ですね!」
俺にはきみのほうが綺麗に見えるけどね。
俺がそう言うと、途端にはにかんできみは赤くなる。
「もう、義元さん、本当に口が上手なんだから!」
俺は本当の事を言っているだけなんだけどね。