<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第4章 じゅもん ― 信玄&姫 ―
「信玄様、甘いもの、良いんですか?」
幸が止めるのを知っているから、舞も心配して聞いてくる。
「大丈夫さ。きみと一緒にいるのに、むしろ食べないほうが毒さ」
片目をつむって、優しく笑い掛ける。
それだけで舞が顔を赤らめて、殊更、愛らしい。
茶と団子を頼み、茶屋の腰掛けに並んで座る。
空は灰色の雲が多いが、雨が降るような空気ではない。
「ほら。今、評判の団子だ、食べなさい」
「いただきます」
舞はゆっくりと団子を口にする。
おや、その団子を含む可愛い唇、俺が後でいただきたいものだな。
「美味しい!美味しいです、信玄様!」
嬉しそうに喜ぶ舞。
「そうか、良かった」
俺も舞の笑った顔を見て、顔を綻ばせる。
そして、茶屋を出て、散歩を楽しむ。
舞は何も求めない。
ただ、俺と一緒にいるだけで嬉しい、と言う。