<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第40章 けんけんぱ ― 光秀&姫 ―
「けん、ぱ、けん、ぱ、けん、けん、ぱー。こうやります」
えへん、と得意げな顔をしてこども達と俺を見る舞。
「じゃ、やってみましょう、光秀さんもやってくださいね」
「…俺はやらん」
「駄目ですよ、見たんだからやってください」
「これから仕事だ」
「10秒で終わりますから」
「10、びょう?なんだ、それは?」
「時の単位です。あっという間に終わる単位です」
さぁさぁ、と舞に腕を掴まれ、逃げられなくなってしまった。
仕方ない、しかし、これの仕返しがあるのはわかっているだろうな、舞。
俺は仕方なく『けんけんぱ』の開始位置に立つと、片頬をあげて舞を見た。
「俺にこれをさせるということは、後で俺の仕置きを受けるという事で良いんだろう?」
途端、えっ、という驚きの表情をして俺を見る舞。
本当に表情がわかりやすい。
俺はやっぱり良いです、と言いそうな舞を無視し、『けんけんぱ』をしてやった。
武将である俺が『けんけんぱ』をしたものだから、むしろこども達が大喜びし、俺にまつわりついてきた。