<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第40章 けんけんぱ ― 光秀&姫 ―
「みちゅひでちゃま、かっこいいでしゅ」
「光秀様、さすがです!」
「光秀様、私も光秀様みたいにかっこよくやりたいです」
「私、おおきくなったら、光秀様のおよめさまになりたいです」
すぐ横でおかぶを取られた舞はさぞむくれているかと思ったが、相反してにこにこして俺とこども達を見ていた。
俺が一番小さい子をひょいと抱き上げると、舞は少し俺に寄ってきて満面の笑顔を俺に向けて言った。
「光秀さん、案外こども好きなんですね?それになんだか小さい子を抱っこするのが似合ってます」
「…そうか」
そんな事言われた事のない俺は、舞の言葉に不思議な感覚を覚える。
「さぁ、じゃあ、光秀様みたいにかっこよく、みんなでやってみようか!」
「はい!」
舞が声を掛け、こども達は順々に『けんけんぱ』をしていく。
一番小さい子は片足すら難しいと、舞が支えてぴょこぴょこやっていた。
俺はその姿にくっと笑みを浮かべ様子を見守った。
けんけんぱ、けんけんぱ
うらうらと冬晴れの空に、こども達と舞の笑い声が響いていた。
さて。
俺に『けんけんぱ』をやらせた仕置きだ。
今宵は俺がうんと舞を意地悪して、甘やかしてやるとも知らずに。
<終>