<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第40章 けんけんぱ ― 光秀&姫 ―
北風の冷たいこの季節、あの娘はそれなのに何をしているのだ?
舞が城の庭でなにやら木の枝を使って書いていた。
舞の周りにいるのは、城で働く家臣や女中のこども達。
俺はふらりと近くへ見に行った。
「舞、何をしている?」
「あ、光秀さん」
俺の顔を見て、にこりとする舞。
地面を見ると、なにやら丸がいくつも書かれていた。
俺の怪訝な顔を見て、何をやるのか気にしているのか気が付いたらしい。
「これは、『けんけんぱ』をして遊ぼうと思って」
「けんけんぱ?」
俺の更に不審に思う顔を見て話してから、舞はこども達に話し掛ける。
「こうやってやるんですよ。さぁ、みんな見ててね」
こども達に見ているよう促すと、舞は描いた円の中に片足をちょんちょんと踏み入れて進んだ。
「けん、けん、ぱー、けん、けん、ぱー」
成程、『けん』は片足、『ぱー』は両足を地面につくのか、単純だな。