<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第37章 最高のプレゼント ― 顕如&姫 ―
「け…顕如さん…」
突然の顕如の行動に驚き顔を赤くする舞。
ふ、と顕如は笑みを浮かべ、その手を握り、さぁ行こうと促す。
「いつものレストランで良いのだったな?」
「は、はい」
二人で記念日に使うレストランは、大通りから一本小道に入ったところにある。
こぢんまりとして、でもオーナーの客さばきが丁寧で、顕如が気に入っているのだ。
何度も利用している事から、オーナーも二人を見知って、舞が予約の電話をした時も、顕如の誕生日か、とオーナーから先に言われ、舞は驚いたものだった。
カランと扉のドアについたベルが鳴り、オーナーが優しい穏やかな微笑みを浮かべ、二人を出迎えた。
「いらっしゃいませ、顕如様、舞様」
「ああ、今日も頼む」
顕如はコートを脱ぎながら頼む。
「かしこまりました。顕如様、お誕生日おめでとうございます」
オーナーも何の利用かわかっているので、顕如の誕生日を祝う。
案内された席も、二人がゆっくり話せるようにと、一番ひとけのつかない角の席。
店内は他に、ぱらぱらと数客が食事を楽しんでいた。
「舞様から、ご依頼いただきましたコースをご用意させていただきました」