<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第37章 最高のプレゼント ― 顕如&姫 ―
1月7日の表参道はまもなく19時。
高級海外ブランドブティックの前、華やかなディスプレイが輝く前で、舞はストールを巻き直した。
「もうすぐ、だな」
正月を過ぎ、仕事始めとなって数日。
今日は仕事で知り合った虎商事の顕如の誕生日。
昨年のうちから今日の逢瀬を約束していたのだが、今朝になって虎商事の取引先で問題が起き、顕如はそちらの対応に追われ、当初は会えるかどうかも怪しくなっていた。
しかし夕方になり、舞に連絡があり、遅くなるが会えるというので、待ち合わせの場所にて顕如を待っているのだ。
舞の手には、その海外ブランドの小さな袋。
顕如の誕生日に、名刺入れをプレゼントしようと用意したのだった。
「待たせたな、舞」
深い、全てを包み込む声が聞こえ、顔をあげると、穏やかな闇色の瞳がこちらを見ていた。
「顕如さん、もう、お仕事大丈夫なんですか?」
舞が聞くと、顕如は頷き、舞に近寄る。
「ああ、ようやく終わった…だいぶ待たせてしまったな…手が冷たい」
顕如はそう言い、舞の手を取り、そっと手の甲に口付けた。