<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第31章 流星群 ― 姫&信長 ―
だから信長様はずっと空を見ていたのね。
「あ、そうか…」
私は気が付いて、つい、言葉を出してしまった。
「何だ?」
信長様がいぶかし気に聞かれる。
「流れ星です。この時期ならふたご座流星群ですね。毎年12月…師走のこの時期に発生するんです」
「…ふたござ…?」
聞きなれない言葉だろう信長様は首を傾げる。
「流星群です。流れ星がたくさん、流れる日です。ふたご座というのは星座。ちょうど今、見えているあのあたりの星座です」
カストルとポルックスという名を持つふたごの星座。
彼等のあたりから流星が降ってくる。
「貴様の言うふたご座というところから、流れ星が湧いてくるのか?」
湧いてくる、のとは違うけれど、宇宙のチリが大気に突入して、というのはどうやって説明すれば良いんだろう?
「湧いてくる、というか…ええと、地球の外には宇宙があって、宇宙のチリが地球に飛んでくるんですが、その時地球を覆うものにぶつかると激しく燃えて、それが流れ星になるんです」
必死にない頭を捻り、信長様にわかっていただけるように説明する。
「ほう、この世界を覆うものにぶつかり、外の世界から落ちてくるものが燃えるのか」