<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第31章 流星群 ― 姫&信長 ―
師走の凍てつく寒さがまつわりつく。
なのに、信長様は杯を持って空を見上げてお酒をたしなまれる。
「信長様、風邪、ひきますよ?」
私は声を掛けるが、信長様はきらめく星を見たまま動かない。
「何をご覧になっているのですか?」
信長様の見上げる空を、私も見る。
月もなく、降るような星が満天に輝いていた。
すると、ひとすじの流れ星。
「…あっ!流れ星です、信長様、何かお願い事しましたか?」
急いで信長様に言うと、信長様は空になった杯を下に置き、ふむといった表情で私を見て、問う。
「流れ星に願掛けするのか?」
「ええ、そうです。一つの流れ星に同じ事を3回唱えるんですよ。間に合えばその願いが叶うと言われてます」
「そうか」
信長様は短く一言答え、また空を見上げる。
「舞、今日は先程から流れ星がいくつも流れておるぞ」
「え…そうなのですか?」