第7章 『謳歌』 ※R‐18
嬉しかった。
けど、つまらない意地が純粋な気持ちを曇らせる
「やめてよっ、今更!」
思いきり払うと、一気に幸の様相が鋭くなる
「……お前の望む通りにしてやってんだろ」
「本当は嫌な癖に!無理にして貰わなくてもいいよ」
「あぁ!?…………はぁ………面倒臭ぇな」
「ほら、また面倒臭いって言う!大っ嫌い、その言葉!!」
また揉め事かと周囲が次々反応していく。
だが二人はそれすら察知できない程怒りで興奮していた
「一体なにが不服なんだよ!せっかく恥を忍んで繋いでやったのによー」
「恥!?…私と居ると恥なんだ。だから帰れなんて言ったんでしょ!」
「そーじゃねぇって!」
「帰れって言われてどれだけ不安になったか分かんないでしょ!………いつも突き放される度にどれだけ淋しかったかも……なんにも分かってない!………帰るよ!帰ればいいんでしょ!!」
はぁはぁ、とそう息巻いて涙ぐんでいると
頭を掻き俯く幸が小さく漏らしたあの言葉が聞こえた
「あー…………面倒臭ぇ…………」
もう、駄目だ
と思った
「……そんなに面倒臭いなら、もう、」
「面倒臭ぇから、もう嫁にでも来い」