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【イケメン戦国】戦国舞花録

第7章 『謳歌』 ※R‐18




「なぁ、無視すんなよおねーさん」

「………………」

「少し話するだけだって」

「………………」


ああ、しつこい。


志乃に会いに行こうとしていた桜子だが、
途中で知らない男に絡まれている真っ最中だった。

(こういう輩はあらかた片付けたのに………新顔か)

いつの時代もナンパ野郎は生息している。
非常に目障りだ。


「俺行商やってんだけどさぁ、ここに来たの初めてだから案内してよ」

ヘラヘラ笑う男に業を煮やす

「てめーしつこいんだよ。うぜぇ、消えろ」

こう本性を出し………いや、わざと女らしからぬ暴言を吐けば興醒めするはず

が。

「あはっ、気ぃ強いねぇ…可愛い顔して。ねぇ、君どこに住んでるの?」

「…………」

ヘラっ、と笑顔を崩さない相手に
舌打ちをする。

(めげない奴だな……!あーもう、逃げよ……)

そう足を早めると、手をいきなり掴まれ後ろに数歩引き戻される

「……!」

「無視するな、女」

男の目の色が変わった。

(結局はこういう人間か……)

片方の空いた拳に力を入れると肘を引き戦闘体勢を取ろうとした時。



横から大きい手が伸びてきて、
男から引き離された



「こいつに何か用か」


「ゆ、幸っ……」


男の手首を捻り上げて私の前に立つ幸の背中が現れる


「な……なんだよ、野郎連れかよっ……」

「何か用かって聞いてんだよ」


ギリギリと捻る強度を増すと男の顔面が歪んでいく。

「なんも……無ぇよ!だから離せ………っ」

「…………あっそ。」

パッと解放すると、冷や汗を垂らし慌てて退散していった




見届けると幸村はこちらを一瞥した

「……帰るぞ。話がある」

そう一言告げると、あれだけ拒否していた私の手を握り歩き出した。
城下の、皆がいるなかで。


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