第7章 『謳歌』 ※R‐18
「ねー、素敵女子はどう思う!?」
「志乃、です。桜子さん」
にこ、と柔らかな笑みで盆に乗せた団子を手渡してくれる
私は怒りが鎮まらず話を聞いてもらおうと一人甘味処に立ち寄った。
例の祭りで会った“素敵女子”こと志乃とは実はあれから仲良くなり、彼女が働く店にちょくちょく顔を出していた。
「手ぇ繋ぐぐらいでなんで喧嘩しなきゃならないんだろ。面倒臭いのは幸の方だよ絶体!」
「ふふ、なんというか、微笑ましい喧嘩ですね」
「えー?ムカつき過ぎて堪んないよ。まったく」
出された団子をガツガツと頬張る
「うぅんと…………特に幸村様は御立場上、敵方に弱味を見せたくないのではと……。通常なら後ろを歩かせ護衛をつけてもいいくらいですから」
「弱味になる前に私が相手倒すし別にそんなのいーのに。どっちにしろいつも隣で歩いてんだからバレバレじゃん」
「ふふ……まぁ、それよりも御本人の性格や考え方が大きく関係してるかもしれないですね。幸村様、照れ性ですし」
コト、と湯呑みに入ったお茶を志乃が腰掛けに置いてくれたので礼を言い口元に傾ける
温かい湯気が揺らめくのを見ながら幸に言われた言葉を思い出していた
『そんなにお前が言う“普通”がいいんだったらなぁ、現代に帰っ………』
本気……で言ったんじゃないと信じたいけど
私にダメージを与えるには充分だった