第7章 『謳歌』 ※R‐18
「それにしても、昨夜は激しかったなぁ~」
ゴトン!
「………………」
午前の政務を終え、憩いのひとときーーーーー
信玄から没収した大福が乗った皿を床に落とし、
幸村は直立不動になっていた
顔面の温度が上昇し、脂汗がタラリと流れる
「………信玄様、昨夜って………」
「凄かっただろ、雨。……ああほら、せっかくの大福が勿体無い。皿は無事だな」
「あ…ああ、そーっすね。雨………」
そう板張に落ちた大福の表面の塵を払っている信玄に、安堵の吐息を漏らす
「………!、…………!」
会話と地面を擦る音が耳に入り視線を移すと、
桜子と謙信が庭にて竹刀で打ち合っていた
「どうした、腕が落ちたのではないか」
桜子は出した一手を捌かれ、
よろけた足を踵で踏ん張り常態を整える
「それは有り得ないですから!たまたま今日はアレなだけで……」
謙信からの攻撃を寸前で止め、ギリギリと刀身を合わせる
「アレとはなんだ」
「えっとその~、ちょっと……」
(あー…腰に力が入らない…足にもきてる。やっぱり原因は………)
脳裏に浮かぶのは幸とのーーー………
「……!?」
突如ふにゃ、と緩んだ笑みを見せる桜子に驚いた謙信は合わせていた竹刀を弾くと、ペタンとその場に座り込む彼女から一旦離れ様子を伺う
「………一体どうした」
「ふふ………なんでも………クスッ」
「……気味が悪い」
回想を始めたらもう止まらない。
久方振りの恋。
身も心も遂に結ばれたんだーーーーー
苛立つ謙信様に竹刀の先端で頬をぐりぐりとえぐられているのにも構わず、
私は完全に悦に入っていた