第7章 『謳歌』 ※R‐18
昨日から降り始めた雨は、勢力を増し未だに止む事を知らない
殺風景な幸村の自室ーーー
蝋燭の炎がゆらめき、
部屋の中を暖色が包む
敷かれた一組の褥。
その上に、
憮然とした様子で胡座をかき腕組みしている幸村がいた。
「………………おい」
「は、はい」
「いつまでそーしてるつもりだよ」
「はは……それもそう……だねぇ」
さっきまでの意気込みはどこへやら。
私は部屋に入るなり怖じ気付いてしまい、隅っこで正座で固まっていた
「早くこっちに来い。」
「あ、はい。」
痺れを切らせた幸村に促され、
視線を下げたまま摺り足で寄ると褥の傍に正座し直す
(どうしようどうしよう………)
イメトレなんかなんの意味も無かった。
謙信様との手合わせより大変だ。
剣道の実戦での度胸はあるのに、
こればっかりは………
汗ばんだ拳をぎゅう、と握り締めた
「……ねぇ、その前にお茶でも飲まない!?」
「は?」
幸村の眉間に深い皺が刻まれる
「ちょっと和んでからでも遅くないでしょ。あっ、心配しなくても大丈夫だよ。お茶の淹れ方習ったから。えっと、お茶っ葉でも取りに行こうかね………」
引きつった笑顔で腰を上げようとすると
手首をぐい、と掴まれ、
幸の胸の中にとじ込められた
「もういい加減、俺に全部寄越せ」
そう荒々しく唇を奪われーーーーー
桜子は、瞳を閉じ幸村の背に恐る恐る手を回した