第7章 『謳歌』 ※R‐18
翌朝ーーーーーーーー
今日は朝から気が抜けない。
なんせ決戦当日なのだから。
日課の筋トレをこなし、自分の腹を様々な角度から鏡に映し見る。
(うん、良い感じ。)
趣味としてだが毎日行っていた成果、ここにあり。
程なくして、女中が小さなお盆を両手に訪れた
「桜子様、朝餉をお持ち致しました」
「ありがとう、わざわざ」
「あのぅ………命じられた通りにお握り二つのみ拵えてきたのですが、本当にこれだけでよろしいのですか?」
「うん。夕餉もこれと同じにして」
「はぁ………」
いくら腹筋が割れてるとはいえいつものように食べれば多少なりとも腹が出る。
そんなの見られたら死ぬ。
お握り二つくらいなら支障無いだろう、と踏んだのだ。
日常通りに皆で一緒に食事すれば、色々と問い詰められるかもしれない………………その懸念があり、部屋に運ぶように昨夜話しておいた。
しかし、まだ問題がある。
そう、
私は三年間誰とも“そーいう行為”を致していない。
しかも経験人数はたった一人だけ。
ハッキリ言って、
「やり方、忘れた……」
出来る事なら今すぐネットで検索したい。
女中には恥ずかしくて聞けやしないし、
もはや自分の妄想力しか頼るものがないのだ。
(えーと、ああいう場合はこうして……)
額に指を当てながらそんな試行錯誤をしているうちに日は暮れ、夜が訪れーーーーーーーーーー
湯浴みを済ませた桜子は寝衣の上から打掛けを羽織り、薄く化粧を施ししばらく瞑っていた目を開けた。
(イメージトレーニングも充分したし、大丈夫、大丈夫…………………)
誰にも見られないように、幸村の部屋へと続く廊下を静かに歩く
私はさながら戦地に赴く兵のような心持ちで、勝負に挑む。
部屋の前で足を止めると、大きく深呼吸をした
(いざ、出陣!)
中で待ち構えているであろう彼に、声をかけた。