第7章 『謳歌』 ※R‐18
分かっちゃいない。
なーんも分かっちゃいないんだよ、幸は。
キラリと光る毛抜きを凝視する
(女子の事情ってやつをな…………………!!)
奇跡的にポーチに入っていた毛抜きを手に、腕や脚を血眼になって処理していく。
(一本たりとも残してはいけない。一本たりとも………!)
元々ズボラな私はこの時代に来てからムダ毛に関しても特に気にしていなかった。
普段は露出の少ない着物なので尚更だ。
佳世さんに頼んでカミソリの代わりになるかもと小刀を貸してもらい、いざ肌に当ててみたが恐ろしくて諦めた。
鋭利すぎて使える訳がなかろう。
(永久脱毛しとくんだった……)
その夜はひたすらムダ毛というムダ毛を我武者羅に引き抜き続けて終わった。
のちに背毛の処理が一人では物理的に不可能だと判明するが、後の祭りだった。