第7章 『謳歌』 ※R‐18
「いたか!?」
「いや、こっちにはいない。確かに見たのだが…………」
「ちっ、逃げ足の早い奴等だ」
鬱蒼とした森林の中
追っ手の目を掻い潜り
漆黒の衣を纏った者達が散り散りに物陰から物陰へと俊敏な動きで駆け巡る
「…………」
道行く先に、通りかかった一人の老人がこちらを見たまま首を傾げている
背負った籠には取ったばかりであろう山菜が詰まっていた
「どうする、お頭。見逃すか?」
「寝言はやめろ」
そう返事した男は一足飛びで老人の背後につき首元に腕を回し固めた
「悪いな、じーさん。見られたからには………消えてもらう」
鈍い音と共に、野鳥達が木から一斉に羽ばたいていく
「コレは海に沈めとけ」
顎でクイ、と地面に倒れた老人を指す
「とにかく暫くは“仕事”は無しだ。事態が落ち着き次第再開する」
「ああ、分かってる」
遺体を運ぶ者、先を進む者に分かれ
緑の中に消えていった