第7章 『謳歌』 ※R‐18
予想外の桜子の返事に、幸村は青天の霹靂を喰らったかのように目を見開いた
勇気を振り絞って、私から仕掛けてみたんだ
「桜子」
そっと私の両方の二の腕に幸の大きな手が添えられる
彼を受け入れてしまったら、
もう後には引き返せなくなるだろう
「好きだ。………………たぶん、出会った時からずっと」
いや、
私自身がきっとそう望んでいるのだ
互いの視点が相手を捉え、
ゆっくりと距離が縮まっていく。
「私も、幸が好………」
言い終わる前に
唇に温かいものが触れた
あのあと酒の酔いが回った私は幸に支えられながら千鳥足で城に帰ると玄関でひっくり返ってしまい、
佳世さんがお水を運んできたところまでは覚えてる
浴衣に
花火に
虫の声
どれも定番の風物詩だけど
今夜のことだけはいつまでも忘れないんだろう