第7章 『謳歌』 ※R‐18
咄嗟に自分が取ってしまった行動が恥ずかしくなりパッと離す
「ご……ごめ…………」
(なにやってんの、馬鹿みたい………っ)
「おいっ………」
早足でその場から逃げる私の後ろから幸が追ってくる。
こんな自分見られたくない。
あの子も私のこと嫌な女だと思っただろう。
嫌な女。
かっこ悪…………
「っ!」
動揺しているせいか、爪突いて地面に倒れた
「………いって………」
「あーもー、大丈夫かよ」
追い付いた幸村が桜子を抱き起こし砂埃を払う
「………………」
本当にかっこ悪い。
なんだか惨めな気分だ
もう帰りたい
再び一歩を踏み出した。が。
「な………」
転んだ衝撃で片方の下駄の鼻緒が切れたようで、足の甲が滑り出てしまった
(最っっ悪………)
下駄を拾い俯いていると、目の前に回り込んで屈む幸の背中があった
「乗れ」
後ろ手にし、ぷらぷらと合図している
「いいってばそんな……」
「いーから乗れっつってんだよ」
(……………)
おずおずと肩に手を伸ばし上半身をもたれると、両足を抱えられ視界が一気に高くなった
「お前、意外と重いなー。日頃食い過ぎなんじゃねーの」
「う……うるさいっ!筋肉ついてるから見た目より体重あるんだもん、しょーがないでしょっ」
「へーへー。」
憎まれ口とは裏腹の優しさに目頭が熱くなる
そして確信したんだ
いつだったか、私の本心を封印していた箱
その鍵を持っているのはあなただと