第7章 『謳歌』 ※R‐18
「おじさん、冷や酒二人前ね」
「あいよ」
まんまと酒を手に入れた桜子は幸村の所へ戻ろうとしたが、その足は数歩で止まった
「ほんと久々だよなー」
「義姉さんのお産が終わって落ち着くまで上の子の世話をしにしばらく遠くまで行ってたんです」
「へー。全然姿見かけねーなって思ってたけどそーいう事か」
「はい。幸村様もお元気そうでなによりです」
「…………………」
持っていた盃を傾け飲み干すと、幸村の分にも口をつける
桜子は遠目から二人の様子をじっとりと伺っていた。
幸と一緒にいるあの女の子、誰なんだろう
友達とかかな
やけに親しげだけど………
ていうかあの子のあの表情、幸に気があるんじゃ………
白地に朝顔が咲いた浴衣に、綺麗な黒髪を斜めに流し飾りで留め、可愛らしい笑顔で口に華奢な手を当てて頬を染めている。
仕草も上品だ。
自分とは真逆のーーーーーーーー
………………なんかあの二人………………
似合ってるな…………………………
残りの酒を喉に流すと店の台に器をダン、と置いた
「弟達と来てたのだけれど、はしゃいで仕様がないから疲れてしまって。ここで一休みしてたんですよ」
「相変わらず面倒見良いんだな」
「そんなこと……。ね、幸村様は一人でいらっしゃったの?もしそれなら一緒にーーーーー」
女の手が幸村に触れようとした、その時
ガシッ
「…………………」
「…………………」
自らの方へ引き寄せるように幸村の肘に腕を絡ませる桜子が二人の間に割って入った
「あ……………」