第7章 『謳歌』 ※R‐18
お祭り………………夏の一大イベント!
佳世に用意を頼んだ浴衣を部屋の中に所狭しと何着も並べ、吟味してるうちに刻々と時間が迫る
(どれにしよう………ピンク色は好きだけどちょっと子供っぽいよね………かといって黒は大人過ぎるし……)
浴衣だしバッチリメイクよりナチュラルの方がいいかな。
ポーチを漁り化粧道具を取り出す
そういえばここに来て以来ほとんど素っぴんだったし髪型にも気を使ってなかった。ピアスも初日に外して以来つけてない。
鏡台に向かい奮闘する私は
ああ、恋してるなぁ、と思う
「本当に可愛いね、天女は」
「髪型崩れるから駄目ですって!」
夕方、外まで見送りに来てくれた信玄様に甘い言葉を囁かれ抱きついてくる手を払いながら門まで行くと幸が見えた
(浴衣着てる!幸の浴衣姿…………!!カッコいい…………っ)
グレーの麻の葉繋ぎの柄で、シンプルだけど粋で似合ってる。
「幸~、ほら、本物の天女みたいだろ」
嬉しそうに信玄が桜子の両肩を掴み披露するかのように前に押す
迷った挙げ句、無難に紺色の生地に花や蝶が描かれているものに身を包み、不器用ながらも団子に結った髪に以前幸から貰った飾りを差していた。
「……………まぁ、いーんじゃねーの。」
ふい、とそっぽを向くその耳が赤かった
(あ、照れてる)
こっちまで伝染してしまい顔の熱が上昇するのを感じながら幸の元へ行った
「じゃあ、行ってきます」
「ああ。気をつけて」
信玄に挨拶を済ませるとぎこちない二人は門を出た。