第7章 『謳歌』 ※R‐18
六月・水無月
爽やかな初夏の香りが心地よい昼下がり
城の敷地内にある井戸の近く。
竿竹に掛かったカラフルな生地が風になびいてーーーーー
「桜子さん……何、してんの」
呆然と立ち尽くす佐助の前には、タライの中で板に小さな布を擦り付ける桜子がいた。
手を止め、見上げる
「よっ、佐助~。今日も良い天気だね!」
「そ、そんな事よりそれっ………」
ふるふると震える指で差す
「見りゃ分かるじゃん。洗濯。」
洗濯板から離すとパン、と両手で張ったのは現代の……いわゆるショーツだ。
「今までずっと部屋干ししてたんだけどさ~、やっぱ外の方が乾くの早いし」
竿には洗い終えた何枚もの下着が連なっていた
「こんな人目につく所でそんな物…………」
「ああ、大丈夫大丈夫。この時代の人はこれが何か分かる訳ないもん。佐助には見られても別に平気だし。なんとなく」
顔の前で手を振りカラッと笑う桜子に、それまで慌てふためいていた佐助は平常心を取り戻すように大きく咳払いをした
「すっかり本調子に戻ったって感じだね………ところで、あれから幸とはどうなってんの」