第6章 『心得』
「ーーーーー手筈は今しがた説明した通りだ。いいな」
「はっ」
広間では軍議が行われており、必要な兵士や武器の調達の段取り、戦術を練っていた。
「いよいよだな。血が騒いで敵わん」
「相変わらずの戦狂いだな、謙信。…………しかし……顕如の意思を継ぐ者が居たとは………お陰でまた織田軍の奴等と共闘する羽目に…………参ったよ」
「全部潰すつもりでいるらしいからな。ったく、しつけーな。」
足を崩し頭を掻いている幸村の方に信玄の目玉が動く
「幸。大丈夫なんだろうな?気をしかと締めねば勝てるものも勝てん。なによりも今はこの戦が第一優先だ」
「……………百も承知ですよ」
あの時、はっきりと拒絶された。
『もう、やめてよぉっ………』
ふいに手を握ってきたり、顔を赤くしてみたりと何気に脈あるんじゃねーかな、なんて。
とんだ勘違いだった訳だ。
ーーーーーあいつはいつか元居た世界に還るんだ。
忘れなければ。
このまま、何事も無かったかのように