第6章 『心得』
“戦”
なんとかの乱?
なんとかの変?
学生時代、歴史の授業は退屈だった。
有名どころの人物の剣の腕前は凄く気になるのに、習うのは年表やら政策、なんかの戦いで誰が誰を討った………みたいな事ばかりだった。
あくびをしながら机の上に腕を枕にして、
この時代に生まれた人は大変だな~。と、漠然としか思わなかった。
忙しい中抜けてきた信玄様を、探しに来た家臣が連れ戻しに来たので私も一緒に城に帰ってきた。
あれ以上外をブラつく気にはなれなかったから。
「信玄様!どこほっつき歩いてたんだよ。こんな大事な時だっつーのに………」
呆れ顔で幸村が出迎えると後ろに居る桜子が見えたので踵を返した。
「………とにかく早く広間に来てくれよな」
「分かった分かった。じゃ、天女。さっきの件よろしく頼んだよ」
頷く私を確認すると、幸と同じ方向へゆったりと歩き去る。
…………幸も、あれから私を避けている。
たまに通路で出くわしても
「おはよう」
「お疲れ様」
「おやすみ」
これくらいしか言葉は交わしてない。
その他は私が毎日外出ばかりをしているせいか誰ともちゃんとじっくり会話という会話をしていなかった。
佐助も外出を繰り返していたが情報収集に飛び回っていると信玄様が言っていた。
せわしなく家臣達が登城しているのにも何の疑念も抱かずに過ごしていた自分。
戦は五日後。
私だけが何も知らなかった