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【イケメン戦国】戦国舞花録

第26章 『気配』




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野営をしつつ、安土に帰還した一行は。
留守中の城を管理していた石田に出迎えられ……
今後の対応などについて話し合い、やっと一段落ついた頃。

私は案の定、秀吉から説教を喰らっていた。


「ったく……
大事に至らなかったから良かったものの、戦に参加するなんてとんでもない事だ!それもあんな軽装備で」

「仕様がないでしょー、そういう気分だったんだから」

「仕様がなくねぇ!気分が乗ったからといって殺し合いに加わる奴が何処にいる!」

「ここ」

「〜〜〜っっ、
ああ言えばこう言う……」


呆れたように額を押さえる秀吉を尻目に。
正面に座らされていた私は、足を崩し呑気にウリと戯れていた。

おーおー、とてつもなくお怒りのご様子。
予想はしてたけど今回の説教は特に熱が入ってるなぁ。あーんなに眉毛吊り上げちゃってさ。
いわゆる“おかんむり”状態ってやつだ。


「とにかく危険な真似はこれっきりにするように。…って…
こらっ!真面目に聞けっ!」

「はいはい、すいませんね〜。
うざっ」 

「はい、は一回!うざ、は余計だっ!!
だいたいお前はなぁ……ーーー」


それからも、そんな調子で延々と小言が続いた訳だがーーー
かったるいけれど、真剣に叱られるのは意外と苦痛じゃないな、なんて。
むしろなんだか心地の良い感覚だった。


「はぁぁ……
今日はここまでにしといてやる」

「あ、もう終わり?」

「……。
まだ続けたいならいくらでも言い聞かせてやるぞ」

「ふふ、残念だけど遠慮しとくよ。これから用事があるんだ」


憮然とした表情の秀吉へウリを預け、座り疲れた腰を上げる。
部屋から去ろうと背を向けた時、
不意に問いを投げかけられた。


「なぁ、蓮。政宗と同行した真の理由は何だ?どういう事情でそうなった?」

「さっきも言ったけど、気分よ気分。
……ただ……
あいつが生きる世界を私も見てみたかった。
ただそれだけの話」


そう答え、
振り返らずにそのまま襖へ向かった。
それ以上、質問が飛んでくる事は無かった。



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