第24章 『融氷』
なかなか他人に心を開かない奴だけれど……
多少なりとも懐いてくれたのかもしれない。
そう思うと悪い気はしなかった。
むしろすっきりと晴れやかに。気分が湧き上がってくるようなーーー
そんな不思議な感覚だった。
「さて、
飯の前にひと汗流すか!藤吉」
「………」
「藤吉?」
準備を済ませ、
いざ庭先へ踏み出そうとしたのだが。
藤吉は俯き加減で口を尖らせていて、微動だにしない。
さては蓮に断られた事をまだ引き摺っているのだろう。
「なーに不貞腐れてんだ。仕方無いだろ?」
「………蓮の奴………
わざわざ夕餉の支度なんて手伝わなくていいのに」
「あのなぁ、お前達の為にやってくれてるんだぞ。有難く思わねぇと」
「有難くねぇっ!!」
「……なんだよ藤吉、どうし……」
「俺………
政宗様のこと、嫌いだ」