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【イケメン戦国】戦国舞花録

第24章 『融氷』





僧侶である正仲は慎ましい暮らしを重んじており、寺の子ども達もそれに従い普段は質素な食事をしているという。
しかしたまには豪勢なものを食べさせてやりたいと申し出た伊達は正仲と交渉した末……
十日に一度、自ら手料理をもてなすことになったそうだ。


「少しくらい贅沢を味わったってバチ当たんねぇだろ。
ほら、呆けてないで支度しとけ」

「あ、……うん」


事の経緯を説明しながらも素早く身なりを整えた伊達は入念に手を洗っていた。
催促され、ハッと気が付いた私は帯裏に巻いていた紐を取り出し、急いでたすき掛けに結っていく。

ーーー正直、驚いた、かも。
武将という立場にも関わらず
誰に頼まれた訳でもなく、率先して庶民の子どもに料理を振る舞うなんて。


「よし、食材の下準備と切り分けをするか。俺が魚を捌くから、お前は米を研いで釜の用意を……」

「私が捌く。包丁貸して」


乗馬の訓練があった為、伊達の小姓が買い付けしてくれたという食材がごっそりと厨に届き……
そこにあった新鮮な鮭を掴み上げ、まな板の上に乗せた。まずは鱗取りからだ。


「ほー、手慣れたもんだ」

「しょっちゅう家で料理してたからね。なんならあんたも三枚に下ろしてやろうか」

「……………。
包丁握り締めたお前が言うと冗談に聞こえねぇな」


脈絡の無い掛け合いを続けつつも目線は常に手元。それぞれ役割を分担し、テキパキと作業を進める。
どうやら、今夜のメインメニューは二つ。ちらし寿司と天ぷららしい。



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