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【イケメン戦国】戦国舞花録

第23章 『理由』 ※微R18





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フィルター近くまで短くなった煙草の先端から、灰の塊がぽろりと落ち……
ふと我に返り即行ケースへ捨てた。

豊臣の奴が熱く語り出すもんだから。
つい私まで、色褪せた昔のことを思い出してしまったではないかーーー


「うっ……っく、ぐすっ……」


厳しく、そして優しく説き伏せられ、
心を打たれたのか……
気付けば、藤吉は膝に突っ伏したままさめざめと泣いていた。
しゃくり上げるその小さな頭を撫でていた豊臣が、ふいに視線を送ってきたので私は慌てて明後日の方向へ顔を背ける。
すると、その先にはーーー
ゆっくりと石段を上りこちらへ歩み寄ってくる正仲の姿。


「ほら、迎えが来たぞ」

「……あ……」


どうやら全てを把握していた正仲は。
藤吉が盗みを働くたびに、被害を被った店へ赴き一軒ずつ頭を下げて回っていたという。
その事実を知らされた本人は、堪らず泣きじゃくっていた。


「縁あるところに道は拓ける。
情けは蔑みではない。素直に受け入れろ」

「……っ、はい」


後押しされて、立ち上がると。
気まずそうに……だけどしっかりとした足取りで石段を下りていく藤吉の背中。
ひとまず一件落着か、なんて。
他人事なのにホッとしてる自分に違和感を覚えつつも、寺院へ戻ろうと歩き出した。
が。
何故か後を尾行てくる気配ーーー


「……なぁ蓮」

「何?ついてこないでよ」

「お前、藤吉を庇ってたんだろ?
あいつの盗みの件が俺にバレないように。
だから……さっき理由を尋ねても答えなかったんだろ?」

「………。
だったらなんだっていうの」

「んー?別に、ただ……
根は良い奴なんだな、って。藤吉然り、お前ももっと素直になれよ」

「根は?良い奴!?ハッ、あんたに心理分析される筋合いは無………」


今でもやっぱり理由は分からないが、奴と接してると居心地が悪くて日頃から目を合わせないよう気をつけていたのに。
勢い余って振り返ってしまった、そこには。
初めて見る、私に向けられた微笑みーーー

そうしてまた
あの穏やかで柔らかな風が、
互いを掠めていった。



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