第23章 『理由』 ※微R18
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カチリ、と。
安物のライターで煙草に火を点ける。これで何本目になるだろう。
傍らでは、地べたに座する二人。
生意気な口調で反抗する藤吉と、それを宥める豊臣ーーー。
またお節介な小言や説教が始まった、と、辟易しつつ耳を傾けていたのだけれど。
…………
ふーん。
この男、結構苦労してきたんだ。
農民から現在の地位まで昇り詰めるなんて、相当な努力と対人能力が必要な筈。
“人誑し”なんて揶揄されているけれど、それは知恵を働かせるのと同等に重要な能力でもある。
ただの口やかましいお偉いさん、という訳ではなさそうだ。
「……………」
木の幹に背を預け、真上に向かって煙を吐く。
有害な白い靄が、青い空に紗をかけていくのを眺め……
自分には到底真似出来ない生き方だな、なんて皮肉に笑いながらも奥底に仕舞っていた記憶を思い出していた。
己の正義に従ってるだけなんだけど。
他人からは理解され難い、
私の人格や価値観。
そうーーー……
きっと、恐らく。
あの頃に形成されたのかもしれない……
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