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【イケメン戦国】戦国舞花録

第23章 『理由』 ※微R18





「まったく………」


ふぅ、と呆れ気味に息を吐く。
あの陽溜まりのような笑顔を見ると、それ以上叱りつけることも出来ず。
二人の後ろ姿を見送り、それとは反対方向へ歩いていき………
城外に出て寺院へ続く石段をのんびりと下る。何気無く空を仰げば、爽快な青がどこまでも広がっていて。

こんな天気の良い日は、草の上にだらしなく寝転がってひと眠りでもしてみたいーーー
瞼を閉じて想像を描き、澄んだ空気を鼻からいっぱいに吸い込んでいたら。
遠くの方から、またしてもやかましい喧騒が耳に届く。………


「くそっ、離せよ!離せーーーっ!」


視線をやると、
手足をバタつかせて藻掻く小童とーーーその襟首を鷲掴みズルズルと引き摺っていく背の高い女の姿。長く艷やかな黒髪が揺れている。
あれは確か最近保護された孤児、藤吉だ。そして………


「おい、蓮。何をやっている」


子ども相手に乱暴なことをするとは見過ごせない。石段を急いで駆け下り、咎めようと声を掛けると。
黙々と連行していた蓮が足を止め、顔を前方へ向けたまま投げやりに言葉を返してきた。


「あんたには関係無い。どっか行って」

「いーや、そうはいかないぞ。その手を離すんだ」


グッと手首を掴み引き離そうとするも、思いのほか彼女の力は強く逆に振り払われてしまい………
何度試みてもことごとく突き放されて。
徐々に互いにムキになっていき、道端で攻防戦が始まった。


「何故頑なに抵抗する。理由を言ったらどうだ」

「鬱陶しい正義感振り翳さないでよ。関係無いって言ってんでしょ!」


何か訳があるのだろうが頑として言おうとせずお前にゃ関係無い、の一点張り。まったく強情な女だ。

そんな押し問答を繰り広げている最中、黙って見上げていた藤吉が堰を切ったように叫び放った。


「俺は誰にも庇って貰われたくねぇ!誰の世話にもならねぇ!寺から出せ!!」



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