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【イケメン戦国】戦国舞花録

第23章 『理由』 ※微R18





「三成さまぁぁっ!」


障子が開かれたと同時に現れたのは、十数人ほどの小さな子ども達ーーー。
嬉しそうな表情を浮かべて両手を広げ、我先にと駆け寄ってきた。


「三成さま、早くこないだの続きを教えて下さいっ」
「三成さま、今日はどのくらい居られるのですか!?」
「三成さまぁー」


石田の周りを取り囲みわいわいと盛り上がるそれらは皆一様に目を輝かせていて、この男にかなり懐いている様子が伺える。
下は四・五歳程度の幼児から
上は十歳前後まで、年齢も性別もバラバラだった。

突然のことに唖然としていると、
子ども達が開きっ放しにしていた障子の間を通りゆったりとした所作でこちらへ歩いてくる者が姿を現す。


「これはこれは三成様、いつも御指導有り難うございます。今日は良い天気ですなぁ」

「そうですね。雲ひとつ無い青空で心も晴々しくなります」


坊主頭に袈裟を身に着けたその様相は、一目で住職であると認識出来た。
子どもと戯れている石田のそばへ行き朗らかに言葉を交わしたあと、ちらりと私の方へ視線を移す。


「おや、こちらは……?」

「こちらは蓮様といって、百合様の妹君にございます。
勉学に励みたいと希望されていて、それならば此処で学ぶと良いのではと思いお連れしました。

ーーー蓮様、
この御方は此処の住職を務めている正仲和尚です」


会釈をしてにこりと柔らかく微笑む、正仲という男ーーー
聞けば、織田の従兄弟だという。
目尻が下がった柔和な顔立ちで、彼奴とは正反対の仏顔だ。
彼奴と血が繋がっているだけで腹立たしくなりそうなところだが、そうならないのはこの住職が放つ独特なオーラのせいだろうか。


「ほう、話は伺っておりましたが貴女が蓮様でしたか。立派な志をお持ちですね」

「別に立派じゃないけど……
今日から宜しくね、正仲。さっそく中へ案内して貰える?」

「ははっ、信長様の言う通り味のある女子でございますな。
どうぞ、お上がり下さい」


皆にそうしてるのと同じくマイペースに振る舞い呼び捨てにすると、何が面白いのか途端に声を出して笑われて。
織田の奴め、変なこと噂してんのかな……と勘繰りつつ院内へ踏み入れる石田や子ども等の後に続いた。



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