• テキストサイズ

【イケメン戦国】戦国舞花録

第23章 『理由』 ※微R18





安土城へ戻ってきた私は
今日もいつも通り軽く汗を流し、朝餉を済ませ…………
女中達と共に膳の後片付けに勤しんでいた。

各武将が平らげたあとの食器は驚くほど綺麗で、米粒ひとつ残っていない。
改めて育ちの良さに感心しつつ作業を進めていると、なにやら難儀しているひとりの女中の姿が目に留まる。
よろよろとふらついた、膳を持つ手元ーーー
袖からは包帯が見え隠れしていた。


「………あんた、それ貸しな」

「え?いえ、これは私が」

「いーから」


半ば強引に膳を奪い取り、
自分が持っているそれの上に積み重ねる。
もし転んでぶち撒けられたら迷惑だからね。
怪我を心配している訳ではない。
……………。


「あっ……ありがとうございます……」


あくまでもそういう意味で声を掛けただけだというのに。途端、
ぽっ、と頬をピンクに染める彼女ーーー。
妙な輝きに満ちた視線を送られ、私は複雑な気持ちでそそくさとその場を離れた。

…………これ以上余計な取り巻きが増えたら面倒なことになる。
風の噂によれば女中達の一部では“蓮様親衛会・婦人部”なるものが結成されているらしく。
毎日のように待ち伏せをされ、差し入れを渡され………
あまつさえ手紙まで届くようになった。
部屋の襖に挟まっているパターンが多いのだが、恐らく差出人は奴等のなかの誰かだと推測する。・・・・・

ああ、疲れる。
私が女だっつーこと忘れてやしないかい?
お前等いい加減目を覚ませっ!!


「はぁ……なんか頭痛がしてきた……」


青ざめた顔で深い溜め息を吐き、
高々と重なった膳を運んでいると。
朝っぱらから騒々しい、高音のアニメ声がどこからか聞こえてくるーーー。



/ 493ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp