第2章 一人目の主人公編 『到着』
話には聞いていたが、非現実的なこの状況に圧倒される。
(…………マジだ………蓮が言ってた事、マジだったんだ……………っていうか)
「他の二人はどこにいるの!?そもそもここはあんたの家な訳?」
話によれば、タイムスリップし本能寺の近くに着いた佐助はここ春日山城に帰る道中で私が草むらに倒れてたところを見つけたらしい。
本能寺からはかなり離れた距離に飛ばされていたと。
他の二人もバラバラに違う場所にいる可能性があり、どこにいるのか全く分からないという。
(そんな………どうしよう………蓮、小梅………っ)
スマホを取り出して画面を開く。
が、電波が無い。当たり前だ、ここは戦国時代なのだから。
居場所も分からない、連絡も取れない。
ザワザワと恐怖が襲ってきた。
会いたい人はもう一人いるのに。
「………君は、何故俺の事を知っているの?何故あの二人と本能寺跡に来たの?もしかして、ゆ」
「百合さんはどこ?」
佐助の言葉尻と被さるように尋ねた。
「やっぱりそうか。百合さんの知り合いなんだね。」
「あんたなら居所分かってんでしょ?この時代で百合さんのこと手引きしてたって聞いてる。…………織田信長の事も。………………またこの時代に連れ戻した事も……………。今どこにいるの!?今すぐ連れてけ!この人さらい!!」
勢いよく胸倉を掴まれ佐助はたじろいだ。
「まっ待って待って、落ち着いて。……君は色々誤解している。俺は無理矢理百合さんを戦国時代に連れ戻した訳じゃない。百合さんの意思を尊重したんだ。」
(尊重………?)