第2章 一人目の主人公編 『到着』
「……………………っ」
ゆっくりと目を開けると見知らぬ天井が見える。
(…………ん………?なんだぁ~…?ここ………)
隣には自分がさっきまで着ていたパーカーが綺麗に畳まれていて、持っていた大きな旅行カバンも置いてある。
そのままボンヤリしていると、
「あ、起きた」
ぬっ、と眼鏡をかけた男の顔が視界に現れた。
「ぅわっ!!!」
布団から飛び出し思わず戦闘態勢をとる。
「ごめんごめん、怪しい者じゃないから大丈夫だよ。
」
「…………………………」
微動だにしない桜子は無言で睨み付ける。
「そんなに警戒しないで。君が外で倒れていたから保護してきたんだよ。…………信じられないかもしれないけど、ここは戦国時代なんだ」
「……………………」
「君とあと二人………本能寺跡で、俺の方へ向かって来てたよね?……………もしかして君達は俺の事で何か知っているの?」
コクリ、と頷く
「………知ってるよ。“猿飛佐助”。…………もちろん、ワームホールの事もね」
キョロキョロと部屋の様子を見ると、時代劇に出てくるような造りのものばかりだ。
忍者のような格好をしている佐助の傍らには刀が置かれてある。
「……………ホントに戦国時代にタイムスリップってやつしちゃったの………かな」
「…………ああ。君達がすぐ近くまで迫ってきた足音が聞こえて、振り返った途端にワームホールに包まれてしまった。それによって、タイムスリップした…………。」
(………そうだ……私達あの時、雷に打たれて………)