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【イケメン戦国】戦国舞花録

第22章 『衝動』





そのあとーーー

当然小梅も一緒に来ると思っていたのだが、「これから大事な用事があるの」と不敵な笑みを浮かべ門から出る私達を見送っていた。

やはり朝食の時から妙な雰囲気だな、と怪訝に眉を顰めるも。
うきうきと楽しげな足取りの姉に手を引かれ、目指す先を進んでいくーーー。










ーーーーーーーーー


そして………
こっちこっち、と促されるまま連れられて。
とうとう安土の城下町に踏み入れた私は周囲の様子をちらりと見回した。

まず。
一言で言うならば、時代劇ーーー。

和服を着た通行人が行き交い、
木造の平屋建てが並び………
様々な食べ物を扱う出店や、いかにも定番の如く赤い布が敷かれた長椅子と傘を構える茶屋。
地べたに座り小物を売る者、中に人が乗っているであろう籠を担いで走って行く者など………

現代のように便利なものは何ひとつ無い。
けれど、人々は笑顔と活気に満ち溢れ
この厳しい乱世を逞しく生きているーーー

そんな、印象だった。



「ふふっ、蓮と二人きりで出掛けるなんて久し振りだね」

「………そう、かもね」


賑わう雑踏の中、隣で歩く姉がそう朗らかに微笑みかけてくる。

確かにかなり久し振りだ。
小梅や桜子を含めて遊ぶことは多々あったけど、二人きりは、ね。

姉貴が実家で暮らしていた頃はよく二人で映画を観に行きランチを食べながら感想を言い合って。
帰りに近場のスーパーへ寄って、今夜のメニューは何にしようか、と食材を選ぶのも楽しかった。


「懐かしいなぁ………………ん?……」


やや右斜め前方から向かってくる、冴えない三人組の男達ーーー
こちらを見る目が明らかに不審だ。

………姉貴を狙ってるに違いない。
母親に似て可愛い顔立ちだからな。ナンパしたくなる気持ちは分かるが、私がそばに付いている限りそうは問屋が卸さないーーー



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