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【イケメン戦国】戦国舞花録

第22章 『衝動』





ニヤニヤと下品な面持ちの男達がだんだん近付いてくる。
その中の一人が先頭を切って一歩踏み出し、声を掛けてこようとした……………寸前。

姉を隠すように立ちはだかった私は、殺気を込めて奴等を睨みつけた。


「何か用?」

「あ……え〜っと……」

「言っとくけどあんた等みたいな程度の低い男を相手してる暇無いから」 


強い口調と、鋭い眼光ーーー。
女にしてはずば抜けた長身と凄みのある気迫に圧倒された男達はたじたじと狼狽え後ずさり………


「消えな」


蓮から低く重みのある声が発せられ、
情けなくも恐れおののいた挑戦者達は敗北を喫しバツが悪そうにその場を去っていった。………


ーーーまったく……油断も隙もありゃしない。
姉貴はというと、何が起こったのか把握してないらしく首を傾げてキョトンとしてる。
無防備もいいとこだよ、ほんとに。

ここは危険が伴う戦国時代。
頭に大輪の花を咲かせてるような、天然かつ純朴な姉は恰好のカモだ。いつまた狙われるか分かったもんじゃない。妙な動きをする奴は誰一人も見落としてはならない。

誰一人…………

…………

…………






「…………ねぇ?蓮」

「何」

「その恐い顔やめよう?」

「なんで」

「だって、ほら………」


気が付けば、周囲の町人達は二人を避けて歩行していて通りすがりに振り返る者も居る。
それもその筈、
百合の隣には腕を組みながら闊歩する蓮が他者を寄せ付けんとばかりにギラギラと睨みを利かせているからだ。
まるでSPさながらーーー


「丁度良いじゃん。避けてくれるお陰で歩きやすいし快適」

「……………。そういう問題じゃなくてね………」


困り果てたような苦笑いを混じえて色々諭してくるが、そんなものどうでもいい。小汚い虫から姉を死守しなくては。
私は聞く耳を持たず威嚇を続け、守備に徹していたーーー。


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