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【イケメン戦国】戦国舞花録

第21章 『勝敗』 ※R-18





結っていた髪をパサリ、と下ろす。
鬱陶しさに辟易しつつ天を仰いで長い溜め息を吐き出すと、スニーカーの底を強く踏み締めて身体を反転させた。


「朝っぱらから何の用?………豊臣」


やっぱりね。奴の声だった。
振り返るとそこには、
昨夜計画を台無しにした張本人ーーー豊臣秀吉が佇んでいて。
衿元の白い飾りはふわふわと穏やかな風にそよぎ、今日も端正な顔を携え私を静かに見据えていた。


「………またそんな卑猥な格好して。
年頃の娘が脚を曝け出すんじゃない」

「卑猥?」


………ああ。
この時代ってたかがこれくらいの露出でも厭らしく見えるんだっけ。昨日も五月蠅かったもんなーーーと、自身の服を一瞥する。

身体のラインにフィットした袖の短いTシャツに、ごく普通のショートパンツ。

こんなもんで卑猥だなんだと騒いでる男共がもし現代のビーチに行ったら卒倒するのは必至。


「脚を出そうが出すまいがなんだっていいでしょ。小言は結構」

「あのなぁ、風紀を乱す訳には……」

「五月蝿いなぁ風紀委員。何の用か、って質問したんだけど。
まさかまだ昨夜のことで説教するつもり?うざっ」

「………違う」

「だったら一体……」

「昨夜は済まなかった」


ーーー…………



は?



・・・・・拍子抜けした。

てっきり懲りずに朝から付け回し
くどくどと煩わしく諭しにやって来たのだと思ったのにーーー

だから余計、苛々混じりで矢継ぎ早に反発していたのだけれど。

昨夜あれだけ敵意を剥き出しに激怒していたというのに……
今目の前に居る豊臣は、睫毛を伏せ沈痛な面持ちをしている。



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