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【イケメン戦国】戦国舞花録

第21章 『勝敗』 ※R-18





ピタリと真横に並んで走っている小梅は、着物姿で足元は草履という出で立ちなのにも関わらず私のペースに軽々と付いてくる。


「ねぇってばー、何しに抜け出したのー?」

「別に」

「えーっ、教えてよー」


………しつこい。
脳天気に見えて実は勘が鋭い奴だからな、昔から。


「まぁ……ちょっとした合戦、があって。」

「へぇ〜なにそれ凄〜い、楽しそうだねっ」


一応オブラートに包んで答えると
小梅は きゃはは、と無邪気に笑っていて。

それ以上追求もされず肩透かしを喰らった私は黙ってひたすら前を向いて進んでいた。
が、
一拍間を置いてふいに問い掛けられる。


「ーーーで、勝敗は?」


・・・・・

無邪気の奥に垣間見える見透かすような瞳。
やはり侮れない。


「………引き分け、かな………」


そう、
結局勝負はつかず共倒れーーー。
悔しいけどあの男を制するのは相当難しい、ってこと。

すると、
再びにっこりと朗らかに微笑んだ小梅は昨日ターゲットに定めた徳川の話を嬉しげに始め……
私は適当な相槌を打ちながらジョギングを続行していた。


ーーーやがて、退屈な雑談を終えて
一人きりになったあと
井戸端で水を絞った手拭いを使い汗を拭き取っていると。


「………こんなところに居たのか」


昨夜の“あいつ”の声が背後から聞こえた。



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