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【イケメン戦国】戦国舞花録

第21章 『勝敗』 ※R-18





「あ………」


流石に言い過ぎただろうかーーー
あまりにも常軌を逸した行動や発言をするものだから、ついーーー……

………いや、これ位言ってやらねばこの女の為にならない。
ましてやあの信長様を陥れようとするとんでもない奴だ。
非難されて当然。
自業自得だろう。

だがしかし……


「………今回だけは見逃してやる。
だがな、次こんな悪事をしでかしたらーーー」


やはり女に対してキツい台詞を吐いてしまったことが後ろめたくなり、和らげた口調で諭そうとしていると。

張り付いた笑いを浮かべたままの蓮は秀吉の言葉を遮るように口を開いた。


「へー、姉貴ってばほーんと可愛がられてるんだ。赤の他人なのにこんな同情までして貰っちゃって」

「………。
……百合はもう赤の他人なんかじゃない。皆にとって大切な存在なんだ」

「へー、あっそー。………
はーあ、今夜はあんたのせいで計画が台無しになっちゃったしもう寝るわ。じゃーね」

「っ、おいっ……」


面倒そうに相槌を返し会話を早々に終わらせると、ゆったりと身を翻して歩いていく。
再び信長を狙うのではないかと疑う秀吉はその後をついていき……
前方で揺らめく長い黒髪を見ながら来た道を戻る。
先程まで居た天主へ続く階段ーーーそこを通り過ぎた辺りで痺れを切らせた蓮がくるりと振り向いた。


「あーもう!ちゃんと部屋へ戻るってば。尾行するのはここまでで充分でしょ。
……それとも相手して欲しいの?」

「ふざけた事を抜かすな。厳重に見張っていただけだ」

「あは、また恐い顔してる〜。
……ま、とにかく天主へは行けなくなったしこの先は放っておいてよね。んじゃ、おやすみー」


手を振ってけらけらと笑い揶揄うと、
秀吉は顔を顰めて不快感を露わにしていた。が、これ以上ついてくる様子は無く。

一安心して
前へ向き直った……直後。
口角をスッと下げ、行く先を見据える蓮の表情からはーーー皮肉な薄ら笑いは最早、消えていた。



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