第21章 『勝敗』 ※R-18
「……へぇ……あんた真面目なんだぁ。
いいね、そーいう男……」
すぅっと屈み、膝立ちになると
はだけたカーディガンを更に開き………
露わになった下着姿を真正面から見せつける。
面積の狭い、上下黒色の布地を纏うのは
余分な脂肪など一切無い華奢な肢体ーーー。
ほぼ裸に近い状態の装いに、
家臣の男は気まずそうにサッと目を逸らした。
が、
その肩にゆったりとした動作でしなだれ掛かった蓮は小首を傾げて覗き込むと熱を帯びた眼差しを送りーーー
「……ねぇ、お願いだからここを通してくれない?」
「なっ……なりません!
いくら貴女が百合様の妹君様であっても……」
「通してくれたら、あとでお礼してあげてもいいよ?……」
「……っ、私は見張りとしてこの場を任されているのです。そのような不埒な……」
「じゃあ……
緊急の伝言を姉貴から言付かった、ってことにしようかな。
正当な理由でしょ?
後々、責任を負うのは嘘をついた私だけ。
だからあんたの首は飛ばずに済むだろうし……
良い案だと思わない?」
「…………」
艷やかな表情で促す蓮の提案に、
欲望と闘っている家臣は苦悶の表情で考えあぐねていた。ーーー
………ふ、揺れてる揺れてる。
男なんて大体こう。
ちょっと色仕掛けしただけで理性を保てなくなる奴が多いんだから。
こんな甘っちょろいセキュリティ、すぐ突破してやる。
「ほら……欲しくないの……?」
身体を擦り寄せ、
段々と顔の距離を縮めていき………
悩む家臣の口元に己の唇を寄せようとしていたーーー
「やめろ」
低く、嫌悪を含んだ声。
・・・・・
口付ける寸前のところでそう言い放たれ、
チッ、と舌打ちした蓮は振り返ると
鋭い眼光を向けた。
「……どこにでも現れる奴だね。
ーーーまたあんたなの?豊臣。」