第21章 『勝敗』 ※R-18
うちの両親は昔から共働きで、
いつも夜遅くに帰ってくる。
その為、
私達姉妹は小学生のうちから家事を手伝っていて。
習い事をしていた私と違って帰宅部だった姉は、特に積極的に料理や洗濯、掃除に勤しんでいた。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
『ただいま。』
『おかえり、蓮』
剣道教室が終わって帰宅し、玄関を開けると必ず出迎えてくれていた姉。
奥からは美味しそうな匂いがふわりと漂ってきて……
寂しさを感じさせない家庭のぬくもりを作ってくれていたんだ。
『今夜のご飯は、何?』
『肉じゃがだよ。蓮、好きでしょ』
『うん!』
『待っててね、今用意するから』
キッチンに立ち、味噌汁や米を盛ってくれる後ろ姿。
ダイニングの椅子に座りその様子を見つめるのが好きだった。
もともと裁縫が得意な姉は、私の服のボタン付けや裾上げなども全部やってくれた。
悩みを打ち明ければ優しくアドバイスしてくれたり、時には説教されることもあった。
まるで、親代わりーーー
いや、親よりも慕っていたのだ。・・・・・
ーーーーーー
ーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ふと昔の記憶に思いを馳せていた蓮は、
天井にゆらゆらと昇る煙をひたすら眺めていた。