第21章 『勝敗』 ※R-18
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瞬間、賑やかだった広間の空気が張り詰めーーー
織田の眉がピクリ……と動いた。
………ふっ
流石に効いたか。
「ちょ……ちょっと蓮!何言って……
信長様、私には信長様しか居ませんっ!信じて下さい!」
私の発言に驚いた姉が必死になって織田に無実を訴えてる。
まぁそれもその筈だよね。
だって、嘘だもん。
こんなこと聞かされたらその鉄みたいに頑丈な心も少しは揺らぐんじゃない?
どんどんと疑念を膨らませてーーー
そんなまやかしの関係なんて壊れればいい。
そしたら……
姉はきっと私と家族の元へ帰ってくる。
きっと………
「それがどうした?」
「………え」
「それがどうしたと聞いている。
他の男?…結構だ。
何匹邪魔な虫が寄って来ようとも倒すまで。それに……百合が俺から離れる事は決して無い」
堂々と言い放つその瞳は自信に満ちていて。
肩を抱かれてる姉は赤く上気した顔を織田に向けてはにかんでいる。…………
なにこれ。
壊れるどころか絆深まってんじゃ……
「ーーー貴様は何故そこまで百合に固執する?
妹だから、というよりは……
まるで親に構って貰いたいが為にしつこく追い掛け回す童のようだな」
狙い通りに事が運ばず苛々が晴れないまま無心で飲んでいた私の耳を突き抜けていく言葉。
………
…………はい?
募っていたものがプツ、と頭の中ではち切れーーー
手にしていた猪口を衝動的に畳の上に叩き捨てた。