第21章 『勝敗』 ※R-18
「それは一体どのような仕組みだ?」
そう尋ね、
白銀色の髪をサラリと揺らしーーー
訝しげな眼差しを送ってきている。
“それ”が何のことを指しているのかが解らず、ただ黙って見つめ返していると………
私の手に握られていたライターがサッ、と掠め取られて。
「ほう……中の構造が透けて見えるとは。
見慣れない部品が内蔵してあるな……そしてこの液体は何だ?」
奪ったそれを顔より少し上に掲げ目を凝らしている横顔は美しく、艷やかで。
睫毛長いなぁ……なんて、思いながら。
「確かそれはブタンガスで………あ、えっと…そういう名の成分で………
ーーー現代では広く普及してるもの、かな。
あとその部品はーーー」
そうか……
こんな簡単に火が付けられる道具なんてこの時代に無いもんね。気になるのも納得だ。
面倒臭がりの私がうろ覚えの知識を引き出し親切に説明してやっていると、「寄越せ」と重厚な一声が耳に入った。
制止しようとするも、あれよあれよとバトンリレーのように人の手から手へ渡っていったライターは織田の元に辿り着いてしまい………
物珍しさから、わいわいと武将達が上座に集まってくる。
「火打石を用いず、このように容易く炎を出せるとは……興味深い。」
カチカチ、と信長がノック部分を押し火を灯すたびに「おおっ」と周りからどよめきが起こり盛り上がり始めーーー遠目から見ていた蓮は、隣に居る男をキッと睨みつけた。