第21章 『勝敗』 ※R-18
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宴へ向かう道中、伊達はふと何かを思い出したように姿を消しーーー
せめて腰に何かを巻け、と小言を垂れる豊臣を無視して
広間の襖を開け一歩中へ踏み出すと、私の身なりにぎょっとした面持ちの武将達や女中達から一斉に注目を浴びた。
上座には姉と、片膝を立ててリラックスした様子で座する織田がニヤリと口の端を上げている。
「……ふ、これはまた随分涼しげな出で立ちだな。やっと顔を出しおったか」
「あんたのしもべが五月蝿くてねぇ。しょーがないから来てやったけど………あのさ、まさか飲みの席で禁煙じゃないよね?」
「ああ構わん。好きにするが良い」
無礼を許すことに納得がいかないのか織田に詰め寄る豊臣を宥めつつ姉はこちらを見やるとホッとした表情を浮かべていた。
………私の機嫌が直ったとでも思っているんだろうか。
勘違いもいいとこなんだけど。
「ねぇ、ちょっと……」
適当な場所に腰を下ろそうと見渡していると、
ゆらりと暗いオーラを纏った男がよろめきながら歩み寄って来る。翡翠色の瞳は不機嫌そのものだ。
「あんたこの子の連れでしょ。なんとかしてよ」
「………?」
視線を下ろしていくと………
男の腰の後ろからは、子どものように短かい腕が巻き付き小さい手ががっしりとしがみついていて。
すると、その背後から主がぴょこ、と笑顔を覗かせた。
「あー!蓮ちゃんだぁ〜」
「小梅……なにやってんの」
「みてみて〜。とうとう見つけたの!私の王子様♡」
「…………」
・・・・・
まぁーた始まったよ。
この子の病気が………
「私、家康のお姫様になる〜!もう決ーめたっ」
「はぁ!?なに言ってんのさあんた………っ離しなよ!」