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【イケメン戦国】戦国舞花録

第20章 二人目の主人公編 『到着』




・・・・・・・・・・!!!



その場にいた武将達は固唾を飲んだ。


二人がこの時代に来た理由は恐らく百合を説得するのが狙いだろう、とは踏んでいたのだが
信長に平伏し直談判するその姿に
生半可ではない決意が感じられのだ。

それは百合にも充分に伝わっていた。
いつ現代へ帰れるのか定かではないにも関わらず
自分の為に乱世に飛び込み、こうして頭を下げている。………
思わず口元を手で覆い、溢れ出そうな涙を堪えていた。


しかし………

ーーーその空気を、
鋭く一刀両断するような声が通り抜ける。


「断る」


・・・・・


予想していた返答だった。
でも、諦める訳にはいかない。
蓮は畳につけていた手の平をグッと握り締めた。


「………たった一人の姉なんです。お願いします。
返して、ください」

「出来ぬ」

「お願いします………!」

「くどい」


・・・・・


伏せていた額をゆっくりと上げると、
その男は
眉ひとつ動かさずーーー
瞬きもせずーーー
けど、どこか憐れむような顔にも見えて。

私の自尊心や、
姉との絆をーーー
ズタズタに斬り刻まれる感覚に陥ったのだ。


「……………」





ーーー・・・・・ふざけんな。





蓮はゆらりと立ち上がり、
一歩、また一歩と前に進み始め……

何をしでかすのかーーーと武将達が身構えた、時。


「駄目」


ぐっ、と小さい手が私の腕を捕らえる。
見下ろせば、いつになく真面目な面持ちで視線は織田を見つめたままの小梅が居た。


「何してんの?離してよ」

「駄目」

「離せ!」

「駄目だよ。………蓮ちゃんは…あの人に、敵わないから………」



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