第20章 二人目の主人公編 『到着』
が。
言い掛けていた家康を遮り、
隣に居る政宗が愉しげに身を乗り出す。
「“がっこう”とやらの針子教室での後輩と、妹、だよな。どっちがどっちだ?」
「ーーーちょっと政宗さん、人が話してる最中だってのに……」
「気になるじゃねぇか。雰囲気は違うがどっちも器量良いし」
さして興味も無さそうな顔をする家康を余所に、
青い瞳をちら……と広間の中央へ向け
二人を見比べる。
オロオロと宥めようとする三成を無視して騒ぎ立てる二人の女。
やけに高音で妙な声音をした小さい方と、
やけに目つきの悪い男並みに高い背丈の方。
「あのね、大きい方が妹で小さい方が後輩なの」と、百合がなんとも分かり易い説明をざっくりとしてくれたが………
「へぇ……あの生意気そうな方が百合の妹って事か。
………なんか面白くなりそうだな」
そう口の端を上げてニヤリと笑みを浮かべる政宗の向かい側ではーーー
光秀が何か思い当たるように、
ボソリと呟いていた。
「面白いどころか……波乱が起きるだろうな。
………百合、あの小さい方……あの女には気を付け……」
神妙な面持ちで告げようとしていた、
時ーーー
「こら、お前等!信長様の御前だぞ、わきまえろ!」
終わりそうの無い喧騒に痺れを切らせた秀吉が一喝すると、
ピクリと我に返った二人は動きを止めーーー
様々な感情を抱いた皆の目がこちらに集中している事にやっと気が付き口を閉ざした。