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【イケメン戦国】戦国舞花録

第20章 二人目の主人公編 『到着』



障子が開かれた瞬間ーーー
更に圧倒される事態となった。

広間の両脇にずらりと並んで正座する男達。
並大抵ではない、風格や威厳が感じられる。


「………!」


正面ーーー上座には………
脇息に肘をついてもたれ掛かり、脚を崩して悠長に座る男。

見られただけで身震いしそうになる程の眼差しの強さ、醸し出す雰囲気ーーー・・・・・

上座に居るという事は、


あいつだ。


織田……信長………!!


ーーー負けるもんか。
姉貴は私が連れて帰るんだから!


蓮はそう自分に言い聞かせ、織田の隣にいる姉ーーー百合に目線をずらす。と、
憂いた表情を浮かべ……口を噤んでいた。…………


「……?」


何………?

なんでそんな顔してるの?

なんでそんな悲しそうなの?

私が来てるんだよ?

妹の私が。………




ねぇ、なんで?




不可解な様子の姉が理解出来ず、ただただ立ち尽くしているとーーー・・・・・

私の腕に絡み付いて暫くジッとしていた小梅が突如、悲鳴にも似た黄色い声をあげた。


「やだ〜〜〜!あの人も、あの人も……皆カッコ良い〜!!
それぞれ系統違うから迷っちゃう。ね、ね、蓮ちゃんはどれにする?」


きらきらと瞳を輝かせ見上げてくる。
その空気の読めない振る舞いにーーー拍子抜けした私はズルリと肩を落とした。


「ねぇってばー、どれにするの?」

「やめてよ、こんな時にっ!」


注意しても、聞く耳持たずで話をやめようとしない。
しまった……。男に惚れっぽい性質なんだよ、小梅は。

くそっ!黙れーーー!!


口を塞いでやろうと蓮が飛び掛かるも、
ひらりとかわす小梅はきゃっきゃと笑顔で走り回り・・・・・

ーーーその繰り返しで。

静かな空間の中騒ぐ二人は、周りから唖然とされているのにも構わずに言い合いを続けていた。…………



・・・・・・・・・・・・・・・



ーーーそれを尻目に、武将達は百合に質問を投げ掛け始める。

口火を切ったのは、呆れた面持ちでジト目を送る家康だ。


「………百合、なんなのあの子達。煩いんだけど。」

「ご、こめんね家康……。でも二人共良い子なんだよ。
私のこと心配してここまで追い掛けてきた位だし…」

「……そう。でもあんたのさ、」


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