第20章 二人目の主人公編 『到着』
「あ♡」
直ぐ様小梅が反応し、
ててて……、と小走りでそちらへ向かう。
制止する為、甘ったるいフリルのスカートの裾を掴もうとしたがーーー数秒遅かった。
「はいはーいっ、蓮ちゃんはお目覚めでーすっ」
スッパァン!と小気味良い音を響かせ開け放たれ、
私は諦めと同時に額を押さえた。
まったくこの子は〜……勝手に開けんなや!
この子、っていっても年齢は一つ上なんだけどね。
年上とは思えない童顔・言動・思考の持ち主。
気苦労が絶えない戦国ライフになりそうだ………
はぁー……、と深い溜め息を吐いて襖の外を見やると
さらりとしたグレーの髪に紫色の瞳をした男が一人、正座をしていた。
クスッと笑みをこぼしーーー口を開く
「お元気そうで何よりです。私、石田三成と申します。
広間にて信長様と百合様がお待ちですので、どうぞ。」
ーーー
“石田三成”!
豊臣秀吉に仕える戦国武将………
これが、あの石田三成か。
確かーーー知略に長けた策士と伝えられている。
随分と優男だな………
けど、そういう男こそ腹の中で何を考えているのやら分かりゃしない。…………
警戒しつつーーー招かれるがまま廊下へ出ると、私達は石田の真後ろについて歩き出した。
ーーー視界には、眩しい程の派手派手しい内装。
部屋の中もそうだったけど、目に映るすべてのものが絵に描いたような時代物だ。
戦国時代なのだから当たり前だが、あまりの豪華絢爛さに圧倒される。
そうして気を取られているうちに、どんどん進んでいた石田の足がピタリと止まりーーー
広間へ繋がると思しき障子の前で姿勢を正した。
「失礼致します。お二人をお連れして参りました。」