第20章 二人目の主人公編 『到着』
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ーーー話によるとーーー………
本能寺跡で光に包まれた瞬間、私達はどうやら戦国時代にタイムスリップしてしまい・・・・・
そのショックの影響なのか気を失った私を小梅が背負いーーー森林の中を彷徨っていたところを、
安土へ向かう道中の姉と織田信長に助けられ・・・・・
ここに運ばれたらしい。
ーーーよりによって、あの織田信長に。
なんてこった。
“敵”の巣の中に放り込まれるなんて………。
………………
あれ………
そーいやアイツの姿が無いんだけど………
「………ねぇ、桜子は?」
「それが…………全然見当たらないの。こっちの世界に来た時、私と蓮ちゃんしか周りに居なくて。
ーーーあ、でもね?信長様が配下の人達に捜索を頼んでくれてるみたいなの」
「えっ………」
ああもう!
借りなんて作りたくないのに………!
しかし………この状況下じゃそうも言ってられない。
悔しいけど捜して貰うしかない。
土地勘も無い私達がアテもなく捜し回るより、ここの人間に任せる方が得策だ。
桜子の命がかかってるんだから。
はぁ………なんでこんな目に………
「………姉貴は?どこにいんの」
織田信長と一緒だった、って事は城内に居る筈だ。
早く会って話しがしたい。
「あっ、先輩ね、さっきまでここに居たんだけど……信長様に呼ばれて行っちゃった。
ねぇ〜、信長様ってさぁ、実物すっごいカッコ良……」
「そんな余計な事はどうでもいい!」
浮かれ気味に語る小梅と、
姉を連れていった織田に苛々してーーー語気を荒げて言い放った、時。
襖の向こうから、澄んだ男の声がした。
「お話し中のところ、申し訳ございません。お目覚めでしょうか」